私には、年度末という概念が薄いので、毎年春を感じることは少なかった。しかし、今年は、非常に春を感じる。自分の弁護士としての一つの時代が明らかに終わった。何か、前向きな兆しが見えつつある。
弁護士になってから、かなりハイスピードで、色々なことをしてきた。密度の濃い時間を過ごせたように思う。
多くの難事件にめぐり合い、それを解決できたこと、いくつかの画期的な判決を勝ち取ったことは、私にとっての誇りだ。
金に対してもおおらかになってきている。食えなくなるという、大学生のころから、長年私にあった恐怖が薄らいできている。
そして、色々な新しいことをやってみたい気持ちになっている。何かドロドロした気持ちが消え、爽やかな気持ちになっている。
こんなに、春らしさを感じる春を迎えるのは、高校に入学した時以来だ。
変わったのは、時間に対する感覚と、人に対する感覚だ。
時間は有限である。だから人は、かならず死に、かならず別れる。その事実を認識することで、目の前の時間と、まわりにいる人の大切さが理解できるようになる。
その長年忘れていたどうしようもない悲しい事実を、私は、思い出した。そして、時間の質が、明かに変わった。循環していた時間が、直線に、線分になった。
新たな目標もできた。絶対にトップの弁護士になる。今であれば、できるはず。
そのために何をするべきか。具体的な策が見えつつある。仕事も早く、質も高まりつつある。
そして、私の時間の概念を決定的に変えるほど、 私にとって、この春の別れは、大きく、そして、辛いものだった。こんな気持ちになったのは、思い出せないほど前のことだ。
しかし、私は、前に進まなければならない。もう2度と会うことはないだろうあの人たちのためにも。