私は、3月11日の臨時総会においては、第1乃至第3のどの案の決議もすべきではないと考える。
  
まず、既に司法試験受験者数は、減少し始めている。そして質の確保のために合格者数を減少することが認められた以上、司法試験合格者数は、日弁連が何もしなくとも数年間のうちに1500人を割り込む可能性が高い。
    おそらく後数年のうちに司法試験合格者数は、1000人程度にまで減少すると考えられる。  
  一方で、第1案及び第2案の決議をした場合、マスコミの反発を受けるおそれは否定できない。第1案及び第2案の決議をした場合には、むしろ、司法試験合格者数を減らすためには、逆効果であるように思う。
     また、決議をすることによって、マスコミの無用の反発を買うおそれは否定できない。そして、マスコミの無用の反発を買うことは、弁護士自治に対して、看過できない悪影響が生じる可能性がある。
  そして、弁護士自治を守るためには、現在において、マスコミの反発を買うような行動は、取るべきではない。
  というのも、私は、この数年間で、弁護士自治について、廃止すべきという意見が、マスコミ主導で強くなっていくように思うからである。
  今朝のNHKの朝イチで、成年後見人についた弁護士の不祥事の特集(例のシャンパンタワーの奴)をやっていた。出演者は、色々な意見を言っていた。出演者は、さすがに、弁護士会の意義について話はしていなかった。もっとも出演者からは、弁護士に対する信頼感の喪失や、弁護士は何をやっているのか、という趣旨の発言が目立った。
  そして、ゲストに女性の弁護士が呼ばれており、イノッチを初めとする出演者が、ゲストの弁護士に色々な質問を投げかけていた。そして、女性弁護士は、まず身内の不祥事を謝り、其の上で、不祥事が起こったことについて弁明していた。非常に女性弁護士は、頼りなく、歯切れの悪い回答に終始していた。
  なんというか、私は、あの番組と其の構成が非常にいやだった。邪推かもしれないが、あの番組構成と、ゲスト弁護士の選定には、作為的なものを感じたからである。
  今後も、弁護士による不祥事は続く可能性が高い。マスコミによって度重なる不祥事が今後大々的に報道されれば、弁護士自治をやめろという世論が強くなっていく。
  そして、マスコミは、弁護士による不祥事を報道し続けることにより、弁護士自治の存続をやめるべきかどうかという問題を、世論において争点にすることができる。
  一度、弁護士自治の存否が争点化されれば、弁護士自治は、なくせ、という方向で、世論は固まっていくように思う。
  従って、現段階においては、弁護士自治の存否をマスコミによって争点化させないように、最大限努力すべきである。マスコミを刺激するような決議をすることは、やめるべきと考えられる。
  本当に、司法試験合格者数を減らすのであれば、具体的に、弁護士が増えると何がよくないのか、具体的な弊害を示すための方策を取ることが肝要と考えられる、。
  例えば、ある先生が提案されていたように、弁護士会が公開株式を1単位ずつ保有して、不祥事報道が発覚すれば直ちに弁護士でチームを組んで株主代表訴訟を提起する、そのための組織作りを検討する、こういうのをやった方がよいのではないか、と思う。