1 論点の所在
抵当権のついた不動産の第3取得者が、抵当権の被担保債権について、消滅時効を援用できるか。
2 結論
最高裁判所昭和48年12月14日判決民集27巻11号1586頁よりできる。
3 条文
民法145条は次のように定める
「時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない」
4 民法145条の当事者の範囲
(1)大審院の立場
大審院は、民法145条に言う当事者とは、「時効に因り直接に利益を受くべき者…を指称す。故に時効に因り間接に利益を受くる者は所謂当事者に非ず」(大審院明治43年1月25日判決・民録16輯1巻22頁)とし、制限的態度を取っていた。左記大審院判例は、抵当不動産の第三取得者について、消滅時効の援用権を否定していた。大審院は、保証人・連帯保証人等は直接に利益を受くべき者にあたるが、抵当不動産の第三取得者、売買予約の目的物の第三取得者、詐害行為受益者等は、援用権なしとしていた(「基本法コンメンタール民法総則」240頁)。
抵当権のついた不動産の第3取得者が、抵当権の被担保債権について、消滅時効を援用できるか。
2 結論
最高裁判所昭和48年12月14日判決民集27巻11号1586頁よりできる。
3 条文
民法145条は次のように定める
「時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない」
4 民法145条の当事者の範囲
(1)大審院の立場
大審院は、民法145条に言う当事者とは、「時効に因り直接に利益を受くべき者…を指称す。故に時効に因り間接に利益を受くる者は所謂当事者に非ず」(大審院明治43年1月25日判決・民録16輯1巻22頁)とし、制限的態度を取っていた。左記大審院判例は、抵当不動産の第三取得者について、消滅時効の援用権を否定していた。大審院は、保証人・連帯保証人等は直接に利益を受くべき者にあたるが、抵当不動産の第三取得者、売買予約の目的物の第三取得者、詐害行為受益者等は、援用権なしとしていた(「基本法コンメンタール民法総則」240頁)。
(2)最高裁の立場
戦後、最高裁は「直接利益を受ける者」という大審院の当事者に関する基準は維持しつつも(最高裁判所昭和42年10月27日第二小法廷判決・民集二一巻八号二一一〇頁)「直接利益を受ける者」として援用しうる当事者の範囲を次第に拡大する傾向を見せている。
5 最高裁判所昭和48年12月14日判決民集27巻11号1586頁
(1)当該最高裁判例の意義
最高裁判所昭和48年12月14日判決民集27巻11号1586頁は、抵当不動産の第3取得者は、抵当権の被担保債権の消滅により直接利益を受ける者に当たるとして援用を認め、前記大審院明治43年1月25日判決を変更するに至った。
(2)判旨
「民法一四五条の規定により消滅時効を援用しうる者は、権利の消滅により直接利益を受ける者に限定されると解すべきであるところ(最高裁判所昭和三九年(オ)第五二三号、第五二四号同四二年一〇月二七日第二小法廷判決・民集二一巻八号二一一〇頁参照)、抵当権が設定され、かつその登記の存する不動産の譲渡を受けた第三者は、当該抵当権の被担保債権が消滅すれば抵当権の消滅を主張しうる関係にあるから、抵当債権の消滅により直接利益を受ける者にあたると解するのが相当であり、これと見解を異にする大審院明治四二年(オ)第三七九号同四三年一月二五日判決・民録一六輯一巻二二頁の判例は変更すべきものである。」
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