ネット関係の仕事を行う際、注意しなければならないのが、当該サービスについて、日本にある支社が当該サービスを管理する権限を有しているか、という点である。
例えば、グーグルの運営するブログサービスであるBloggerなどは、グーグルの日本支社には管理権限がない。Bloggerのブログを名誉毀損を理由に削除するよう求める場合には、アメリカのGoogle.Incに対して請求を行わなければならない。
また、グーグルの検索サイトも、アメリカのGoogle.Incが管理している。この点が問題になったのが以下の京都地裁の判例である。
京都地方裁判所平成26年9月17日判決判例集未登載
① 事案
原告の氏名をグーグルで検索すると、原告の氏名を含む記事が記載されたインターネット上のサイトが複数表示され、当該サイトの一部がそれぞれ数行ずつ表示される。
その約半数に原告の氏名と原告が平成24年12月に京都府迷惑行為防止条例違反で逮捕された旨の記載が含まれているとして、原告が検索結果を表示しない等日本のグーグル支社に対し請求した事案。
② 結果
裁判所は、日本のグーグル支社が検索結果が表示されるサイトを管理運営するのは、アメリカのGoole.Incであるとして、原告の請求を棄却した。
③ 判旨
「事案に鑑み,請求原因(2)(被告の責任原因)について,まず判断する。
1 請求原因(2)ア(主位的主張)について
本件記録を精査しても,被告が本件サイトを管理,運営していると認めるに足りる証拠はなく,かえって,証拠(乙1)及び弁論の全趣旨によれば,被告の親会社である米国法人のAが本件サイトを管理,運営していると認められる。」
アメリカのGoogle.Incに請求しろといっても、それほど簡単ではない。まず、裁判上の手続以外の請求の場合には、内容証明郵便を発送する必要があるが、それを日本支社かアメリカの本社のいずれに送るべきかという問題がある。また、内容証明郵便は、英訳するべきかそれとも日本語のままでよいか、という問題がある。
私が過去扱ったケースでは、日本のグーグル支社に日本語の内容証明郵便を「アメリカ本社に転送するよう要請する」旨の一文をつけて送った。結果的に本社に転送されたが、常に転送されるとは限らない。
グーグルに対し、Blogger上のブログを削除するよう裁判上の請求を行う場合には、上記京都地裁の判例に照らすとアメリカの本社を被告としなければならない。
そして、アメリカ本社を訴える場合に、想定される抗弁が、Bloggerのドメインがアメリカにあるため、管轄がアメリカにあるというものである。しかし、この抗弁を、到底裁判所は認めないであろう。
某会社などは、本社がどこにあるか分からないため、内容証明郵便を送れないといった問題がある。このようにネットに関係する事件は、非常に渉外的な事件になることが多い。
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