株券のない株式に対する執行手続

1 差押の対象物
   「株式」(株主たる地位に基づく諸々の権利の総体)である東京地方裁判所平成4年6月26日決定)である。

2  根拠条文は何か
  民事執行法上の根拠条文は、民事執行法167条(その他の財産権に対する強制執行)である。

3 管轄
  ① 債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所
  ② この普通裁判籍がないときは差し押さえるべき債権の所在地を管轄する地方裁判所である。

4  差押の効力の及ぶ範囲
  株式は株主たる地位に基づく諸々の権利である。債権者は、株式を差押えることにより、以下のような諸々の権利についても差押の効力が及ぶ。すなわち、①株券発行請求権② 将来の利益・利息配当請求権③新株・転換社債・新株引受権付社債の引受権④株式買取請求権⑤残余財産分配請求権に差押の効力が及ぶ(参照「株式・預託株券等持分に対する仮差押え」 林道晴)。

5 換価の方法
 ① 譲渡命令による方法
 ② 売却命令による方法 

6 超過差押の関係について
  その他の財産権を差押る場合であっても、超過差押は禁止される。「民事執行法146条2項より、「その他の財産権」を差押える場合であっても超過差押は禁止される。株式の場合は、1株ごとに1個の権利であると考えられるので、2株以上の株式を差押えようとする場合には、超過差押とならないように、請求債権額との関係で差押をする株式数に限定を加える必要がある(参照「株式・預託株券等持分に対する仮差押え」林道晴)。」

7   差押申立書に記載すべき事項
(1)第三債務者について
      発行会社が第三債務者となる。
(2)目的物の特定
   ア 目的物の特定は最低限「発行会社」及び「株式数」で足りる。
    イ 「株式数」については、差押の限度として記載されていれば足りる。    
  ウ 株式数について具体的な記載方法としては以下のものでよい。

      「債務者が株主として有する第三債務者の下記株式(株券未発行)

                                                      記     
    普通株式○○株