1 会社支配紛争という類型の紛争がある。具体的には、誰が、会社の過 半数の株式を所有しているか、という争いである。中小同族会社などにおいては、会社の過半数の株式を保有している株主は、代表取締役を解任することができる。そのことから、当該会社の支配権は、会社の過半数の株式を保有している株主に存在することになる。

2 そして、誰が会社の過半数の株式を有しているのか、をめぐる争いが、会社支配紛争である。この種の紛争は、端的に、株式の過半数を獲得したものの勝利となる。

3  実務上は、名義株の実質的な所有者が誰であるのか、が訴訟で争われるケースが多い。では、過半数を有していない株主としては、どのように戦うべきか。たとえば、 ある会社の株式の真実の過半数の所有者(以下、「A」という。)が名義上の過半数株式を所有する株主(以下、「B」という)似対し、真実の株主権を主張して、株主権確認の訴えを提起したケースを考える。

4 会社の株式の過半数を有していない株主であるB(経営者等)としては、以下のような手法で会社の過半数株式を取得する方法が考えられる。

① 株主権確認訴訟と並行して、BがAに損害賠償請求など別の訴えを提起する。

②①の裁判で勝訴し、その後、Bは勝訴判決を債務名義として、Aの所有している会社の株式につき、差押えを行う。
③ 差押えたAの株式の換価方法として、Aの株式をBに譲渡する命令(譲渡命令)の発令を求める。Aが十分な資力を有していない場合には、株式の差押とそれに引き続く譲渡命令の発令により、Bは、Aの所有している会社の株式を取得することが可能となる。

  このように、理論上は、BはAに対し、別訴を提起し、債務名義を取得することで、Aから会社の支配権を、事実上奪取することが可能となる。 私は、このような手法を用いたことはないし、制度の目的外利用といわれかねないので、利用には慎重となることを勧める。