私の場合、国選事件は、リアルに殆ど利益が発生しない事件となる。理由は、国選事件の報酬が少ないこともあるが、私が、国選事件の移動に、原則として、タクシーを使っているからである。
 被告人は、大阪の場合、大阪拘置所に収監される。大阪拘置所は、若干アクセスが悪く、最寄駅である都島駅から、歩いて15分程度かかる。地下鉄による移動時間を含めると、淀屋橋から往復で、移動に1時間以上かかってしまう。国選事件で、1時間以上も移動に使うのが、非常にもったいないので、私は、大阪拘置所までタクシーを使うことにしている。淀屋橋又は大阪地裁から大阪拘置所まで、タクシーで大体1500円程度、往復で3000円はかかる。
 たとえば、一つの事件につき、10回大阪拘置所に接見に行くと、3万円は、交通費でかかってしまう。また、示談交渉等に赴く際にもタクシーを使うので、やはり、交通費がかかる。そのほか、郵送代もかかる。
 たとえば、国選事件の報酬が10万円だとしても、利益は、4ー5万円となってしまうことになる。
 タクシー使うなよと思われるかもしれないが、毎日のように書面の締め切りがあり、漫画家のような自転車操業をしている身からすると、1時間以上も移動に使うのはありえない。よって、タクシーを使わざるを得ない。
 問題は、今後も、国選の受任を継続するかである。以前は、国選事件をやることで、こづかいにはなるし、刑事事件の専門性を磨ける、という思いもあった。現在でも、私には、刑事事件の訓練をつみたいという思いはある。
 しかし、最近は国選事件に使っている時間を、他のことに使った方が、将来的にはよい、という考えが、ほぼ確信に近くなりつつある。特に最近、殺人的に忙しいので、国選も含め、刑事事件の受任は、見送ることになりそうである。