1 法律事務所の殆どは、中小零細企業である。よって、いわゆる大企業とは、様々な点において異なった点を有する。特に、労務環境において、違いは顕著となる。
2 まず、社長である経営者弁護士の意見は絶対であり、ワンマン体制がしかれていることが多い。勤務弁護士も含めた従業員は、経営者弁護士に対しては、殆どイエスマンにならざるを得ない。経営者弁護士には非常に気を使うし、パワハラもあったりする(している本人は、パワハラとは気づいていないことが多々ある。)。そして、法律事務所であるにもかかわらず、コンプライアンスの意識が低いところが多く、事務員に対しても、残業代が支払われないことは多い。労務管理が殆どされていないことも多く、有給も取りづらい環境にあったりする。経営に余裕がなく、また少人数で何とか仕事を回しているのが実情なので、女性の職員が妊娠されると、育休を取得できず、そのまま退職していくことがままある。
3 仕事内容も、事務職員は、一人で総務的な仕事、経理の仕事等、会社組織における殆ど全ての仕事をしなければならないし、その上で、法律事務の専門的な仕事をしなければならない。人手不足が慢性化しているところも多く、長時間労働は日常茶飯事であるし、土日に出ざるを得ないときもある。しかも、法律事務所の事務仕事は専門的で難しい。法律事務所事務職員の仕事内容は、かなりのハードワークである。
4 このように、多くの法律事務所の実態は、重症なブラック企業である。そして、法律事務所の労働問題の多くは、法律事務所が経営に余裕のない中小企業であることに原因がある。
5 特に、出来の悪い事務職員に対するあたりは、非常にきついものになる。法律事務所は、構成員の人数が少なく、出来の悪い職員は非常に目立つし、一方で、中小零細企業であるため、そういった出来の悪い職員をおいておくだけの余裕がない。よって、一人仕事の出来ない事務職員がいると、社長である経営者弁護士の当該職員に対する苛立ちは、非常に高いものとなる。また、中小企業であるがゆえに、社長である経営者弁護士と事務職員の距離は近く、一緒に食事にいったりしなければならないので、経営者弁護士との仲がうまくいっていなかったり、嫌われていたりすると、事務所に非常にいづらくなる。したがって、法律事務所の事務職員の出来が悪いと、その事務職員が退職せざるを得なくなる状況に追い込まれてしまう可能性が高くなる。
6 そして、多くの法律事務所は、なにぶん、中小零細企業であり、経営基盤が貧弱であるので、労務環境の改善は期待できないことが多い。このように、法律事務所の労働環境は、色々な意味で、ブラックなことが多く、私は知り合いに法律事務所で勤務することはお勧めできない。何か勘違いをして法律事務所で働きたいという人もいるが、法律事務所でやっていける能力があれば、他の企業でもある程度はやっていけるように思えるので、やめた方がよいように思う。