一般的に過払い又は債務整理案件においては、事務員の仕事の割合が非常に大きくなってくる。ひどい事務所では、弁護士が依頼者と面談するのは最初だけで、後は、全て事務員が対応するところもあるようである。
 このような対応がなぜ可能であるかといえば、過払いや破産案件が一定程度、定型的な処理が可能であるということの他に、多重債務を負うクライアント層が、弁護士の仕事の質に対する要求水準が低い、ということもあるように思う。
 一般的に債務整理、過払い等のクライアントは、厳しい言い方であるが、やはり社会的にだめな部分を抱えている。そして、そのことを自分でも認識しているがゆえに、弁護士の仕事の質に対しても、高度な要求をなかなかしてこない。
 いわゆる債務整理系の事務所は、多重債務を負った人を主要な顧客層としていた。これは、過払いに特化又は過払いを数多くこなすことに伴う必然的な結果であって、最初から、多重債務を負った人を顧客としてターゲットにしていたわけではないと思う。しかし、多重債務を負った人を、主要な顧客層としたことは、いわゆる債務整理系の事務所のビジネスモデルを決定する重要な要素となった。
 つまり、弁護士の仕事の質に対する要求の低いクライアント層をメインのターゲットとして、ビジネスを拡大したがゆえに、債務整理系の事務所には、弁護士の仕事の質に対する要求の高いクライアントに対応する能力が備わっていない。
 従って、後は、過払い、債務整理と同じく、弁護士の仕事の質が問われない分野、弁護士の仕事の質を問わないようなクライアント層を、ターゲットにして、ビジネスを開拓していくしかない。しかし、そのような分野は、本来は、B型肝炎訴訟など数えるほどしかない(債務整理の顧客のように、弁護士の仕事の質に対する要求水準の低い顧客は、そもそも、本来弁護士を必要としないような顧客ではないかとも思う。)。従って、彼らの市場は極めて限定されている。
 現在、債務整理系の事務所は、離婚と交通事故又は残業代請求に力を入れ始めているようである。しかし、離婚と交通事故は、実は、本来、彼らができるような仕事ではないのである。私は、案外、近い将来に、債務整理系の事務所のどこかが、倒産するという事態が現実化すると考えている。