損保弁と弁護士費用特約と、弁護士倫理の問題について書く。
交通事故で弁護士費用特約を使用する場合、損保会社から弁護士の紹介を受けることができる。この場合、紹介を受ける弁護士は、弁護士費用特約の損保会社と、提携契約を交わしている。そして、損保会社の弁護士費用特約から、提携先の弁護士にたいする報酬の支払いは、著しく低いものになっている。
例えば、有る保険会社が、提携先の弁護士に対して、支払れる報酬は、着手金一律15万円の成功報酬なしとなっているようである。私は、当該損保険会社の複数の支店の社員から、その話を聞いている。
かかる損保会社と提携先の法律事務所との業務提携契約が、非弁提携に該当しないか、問題となる。
損保会社からすれば、提携先の弁護士に顧客の事件を紹介 すれば、提携先以外の弁護士に対する支払うよりも、報酬の支払いを抑えることができる。すなわち、損保会社は、提携先の弁護士に対して、事件を紹介することで、経済的利益を得ていると言いうる。
そして、上記のような低額の着手金かつ成功報酬なしという報酬による場合、弁護士としては、経済的にペイするためには、多くの事件をこなす必要があるので、一件あたりにかかる時間を減らす必要がある。端的に言えば、手
を抜かざるを得ないことになる。よって、保険会社からの紹介により弁護士に依頼した交通事故の被害者は、提携契約により、本来であれば受けられたはずの弁護活動を受けられなくなる。
かかる事態が、非弁提携を禁じた弁護士法第72条に反しないか、問題となる。引き続き、詳述する。