いかなる企業がブラック企業については、定義が不明確であるように思う。そこで、私なりにブラック企業について考察をしたい。
 私は、ブラック企業は、労働者が提供する労力、リスク等に対する対価が、提供した労力に比較して著しく低い場合をブラック企業というと考える。平たく言えば、割りに合わなさすぎる企業である。
 典形的なパターンが、連日深夜まで残業を続け、月の残業時間が100時間を超えているにも関わらず、残業代を支払わないがゆえに、支払った給与を時給換算すると、最低賃金に満たないというケースである。
 次に、労働者に、給与に見合わないリスクを負わせるパターンが挙げられる。
 すなわち、労働者に過労死のリスクを負わせるような企業や、労働者との間の契約を形式的に業務委託契約などとして、損害賠償請求、ひどい場合は告訴するような企業である。
 かつての、違法行為を行っている企業=ブラック企業と言う定義は、現在の社会情勢には合わないように思う。違法行為を行っているような企業でも、従業員の給与、福利厚生がよく、従業員が勤務先をブラック企業と思っていないようなケースも存在するからである。
 そして、この種の企業は、上記のように割りに合わな過ぎる企業をブラック企業と定義するのであれば、ブラック企業に該当しない可能性が高くなることになる。なぜなら、会社の違法行為につき労働者が直接リスクを負うことは稀であり、労働者は、リスクに対する対価として十分な給料を受け取っている可能性が高いと考えられるからである。
 
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