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1 ここ20年近くの間、法曹界は、法曹人口を増員すべきか、それともすべきでないか、という問題を論じてきた。 大分勢いを弱めているものの、現在においても法曹人口を増やすべきという人は一定数いる。
2 私は、法曹人口を増員すべきかという議論自体意味を失ったと考えている。すなわち、法曹人口を増やそうとしても、法曹界に人が集めらなくなっている。そして、法曹に一定程度のレベルを求める以上、法曹人口の増員は、不可能である。したがって、法曹人口を増やすべきかどうか、という議論は自体、意味のないものとなる。 
3 既に、現在の司法制度改革は、末期的な状況にあると考える。たとえば、いわゆる増員政策を第2次世界大戦における日本にたとえてみる。
4 私は、現在の状況は、レイテ沖海戦等が終わって、沖縄戦が行われている段階に非常に類似しているように思う。少なくとも1945年の段階には入っている。増員政策の失敗が誰の目にも明らかである。勝機がほとんどなくなり、後は、増員政策を続ければ続けるだけ損害が拡大する、後は、いつ降伏するかを判断するだけという段階である。にもかかわらず、増員派は、決して負けを認めようとしない。増員論者に責任を問う機会がない点は、若干違っているが。
5 私は、そろそろ責任論を論じる段階に入ったのではないかと思う。すなわち、法曹増員政策の失敗は、誰に責任があって、今後、どのように失敗を処理していくのか、ということである。個人的には、法曹人口増員論に賛成した人は、何がしかの具体的なペナルティを受けるべきと考えている。たとえ、それが弁護士会における発言権の喪失といった、些細なものであったとしてもである。